崩れていく歯と心…放っておけない口のサイン
2025年06月30日
◆「見なかったことにしていた」──放置された歯の末路 「なんだか歯ぐきがムズムズする」「少し血が出るけど、そのうち治るだろう」 そんなふうに初期の歯周病サインを放置していると、気づかないうちに病状は進行していきます。 歯を支える骨(歯槽骨)はじわじわと破壊され、歯のぐらつきや噛みにくさが現れます。 一度溶けた骨は元に戻すのが難しく、治療をしても完全な回復は期待できません。 さらに進行すると、強い口臭や膿、最悪の場合は抜歯に至る危険性も。 また、歯周病菌が血流に乗って全身を巡ると、糖尿病の悪化や心筋梗塞、 脳梗塞など命に関わる病気を引き起こすリスクも高まります。 たかが歯ぐきの腫れと侮らず、日頃からセルフチェックと歯科での定期検診を心がけましょう。◆虫歯と歯周病が絡み合う複雑な悪化のしくみ 虫歯と歯周病は一見すると別々の病気に思えますが、 実は密接に関わり合いながら進行する厄介な存在です。 歯周病は、歯と歯ぐきのすき間「歯周ポケット」に汚れや細菌がたまり、 炎症が起こることで始まります。 この炎症が続くと、歯ぐきが下がり、普段は隠れている歯の根元まで露出してしまいます。 すると、その露出部分に虫歯菌がつきやすくなり「根面う蝕(こんめんうしょく)」 という根元の虫歯を引き起こします。 逆に虫歯でできた凹みは汚れがたまりやすく、歯周病菌の温床になることもあります。 このように両者は悪循環を生み、気づかぬうちに歯や骨をじわじわと傷めていきます。 どちらか一方の予防だけでは不十分で、両方のケアが欠かせません。
◆見た目の問題だけじゃない、心のストレスにも 歯周病は見た目だけの問題ではありません。 歯ぐきが腫れたり、下がったりして歯が長く見えることで、笑顔に自信が持てなくなったり、 口元を手で隠すようになったりと、日常のふとした瞬間に気を使うことが増えます。 さらに、口臭が気になり会話や人付き合いに消極的になる人も少なくありません。 「また口臭を指摘されるかも…」という不安が心の負担になり、 仕事やプライベートにも影響することもあります。 歯周病は自覚症状が少ない「静かな病気」ですが、気づかないうちに心にも影響を与えているのです。 歯ぐきの色や形の変化、歯のぐらつき、しみる感覚など、 ささいな変化に気づいたときこそ早めにケアを始めましょう。 心と体、両方の健康を守るためにも大切なことです。 ◆今、歯のことで悩んでいる方に伝えたいこと 「最近歯医者に行ってないな」と思っている方はいませんか? 大人になるとつい歯医者から足が遠のき、「症状がないからいいや」と思いがち。 しかし、虫歯や歯周病は気づかないうちに進行し、発見が遅れると治療も大がかりになってしまいます。 年1回の健診では間に合わないことも多く、3~6ヶ月ごとにチェックするのがおすすめです。 小さな変化に早く気づけば、痛みのない治療や予防ができ、医療費も抑えられます。 お口の健康を守ることは、全身の健康につながる大事な習慣です。 定期的なクリーニングやフッ素塗布、歯磨き指導を受けて、 10年後、20年後も自分の歯で食事を楽しむための土台を作っておきましょう。
◆まとめ 歯周病や虫歯は放置するほど進行し、歯の喪失だけでなく 全身の病気や心の負担にもつながる恐れがあります。 早期発見と定期ケアが何より大切です。 小さなサインを見逃さず、日頃のセルフケアと歯科受診を習慣にして、 一生涯、健康な歯と心で過ごせる未来を守りましょう